副業解禁の議論で見落とされている「お金以外の報酬」

こういうことを言う人が(ようやく?)出始めたなぁ、と思いながら読みました。

”これは冗談でも何でもなく、企業の管理職以上の方、飲食店を営業されている方は、マクドナルドで3ヶ月でも半年でもアルバイトをしてみると良い。気構えだけでない「人を育てる仕組み」というのがどのようなものかわかる。”

https://comemo.nikkei.com/n/n9fa61da7c095?magazine_key=mb7af516ae320

副業解禁の流れで典型的な論調だったのは「とはいえ、コンビニのレジ打ちバイトなんかしても…(大して家計の足しにならない)」というもの。

確かにそれはその通りで、賃金が上がらないうえに残業代が減って深刻な人もいるだろうと思います。ただ、細切れ時間でできる副業で時給ベースの仕事であれば、特別な資格などがあれば別として、せいぜい時間あたり数百円の違いにしかならないでしょう。

そうであれば、その仕事をすることで得られる「お金以外の報酬」に注目する、という発想があってもいいのではないか、と思います。

この例で言えば、マクドナルドの店を回す仕組みが、わずかとは言えお金をもらいながら学べるのです。コンビニのレジ打ちをすれば、その店のその時間帯限定とは言え、どんなお客様が来店し、何をどのくらいの金額で買っていくのか、その店のその時間帯でよく売れる商品は何か、というマーケティングデータの一部を、お金をもらいながら知ることが出来る。そういう発想でバイト仕事を眺めてみると、どうでしょうか。

先日、ある人とこの件について雑談していたのですが、この「お金以外の報酬」を受け取れる人とそうでない人がいるよね、という話になりました。お金に汲々としてしまうと、お金ではない報酬に目がいかなくなるのか、あるいはそれが見えないのか、いずれにしてもうまくそれを受け取れない傾向があるように思います。

「学生じゃあるまいし、いいトシをしてバイトなんて」と思うかもしれませんが、ある事業の舞台裏を知ったり、事業運営のノウハウ(企業秘密とも言えるかもしれません)を教えてもらったり、知らなかった仕事・職業があることを発見したり、(立場を変えて)人間観察をしたり、と、「お金ではない報酬」にフォーカスすると、バイト仕事は案外奥が深い、しかも、お小遣い付きなのです。

自分で興味が持てたり、本業の役に立ちそうな知識や情報が得られたりする副業を、お金ではない報酬を目当てにしてやってみると、「副業解禁」で広がる風景が違ったものに見えるかもしれません。もちろん、副業で知ったことは守秘義務のモラルを踏まえて活用することが大前提です。