自分は、誰に何を買って頂いているのか

サラリーマンの時には当たり前に、ある意味では強制的に目の前に差し出されて来た「仕事」。それは好むと好まざるとにかかわらず存在したわけですが、独立すると、目の前に「仕事」がないことが当たり前になります。

そういう中で、「仕事をとる」とか「営業する」って、なんなのだろう、と改めて考えるようになりました。

そんなことを考えている中で出会った、このブログ。

”あえて聞きたいです。あなたは誰に何を売ってますか?”

これは、ものすごく本質的な問いで、自分も、まだ自分がどんな仕事をしていると説明するのか、明確に定義できていなくてモヤモヤとしている状態が続いているので、いい機会なので、ちょっと時間を使って改めて考えてみました。

 

・自分は「何を」売っているのか

自分のやっていることを抽象的ないし最大公約数的に言えば、既存企業(大企業)とスタートアップを問わず、事業を作って(あるいは作り直して)、それをビジネスの軌道に乗せる、そのお手伝いを一緒に汗かいて走っていくスタイルでやっている毎日、と言えると思います。買って頂いているのは、その「お手伝いという行為」ということ。

その意味では、(一般的には)一緒に走ることはない戦略コンサルさんとは、ちょっと違うものを買って頂いているはず、と思っています。まだ会社が出来て1年半も経ちませんが、現時点で1年以上(有償の)契約を続けて頂いている顧客企業が4社あり、いずれも終了期限が決まっていない、というのが、端的にその違いを物語っているのではないか、と。

具体的なお手伝いの内容は本当に様々で、資料を作るだけ、話をするだけ、ということもあれば、顧客に代わって交渉をすることもあるし、それに付随して、顧客の意思決定者が、意思決定自体やその準備の時間を作り出すために雑用的なことを肩代わりすることもあり、同じ顧客の中でもこうした様々なお手伝いを組み合わせながら提供しています。

その本質を突き詰めると、結局は、自分の過去の経験とか、それによって養われた勘(直感)を買って頂いてる、ということかもしれないな、と。資料作成にせよ、レクチャーにせよ、交渉にせよ、アウトプットの形式は違っても、その中身は自分の中に蓄積されてきたものからしか出せないし、そこから出しているんだという実感があります。雑用の肩代わりでさえ、やっていること自体は誰にでも出来ることだとしても、どのタミングで何を肩代わりすべきなのか、という判断とか勘(直感)は、やはり自分の過去の蓄積の中からしか出てこない。

そうであれば、過去の蓄積、という時の「過去」の幅や質が問題になるのだな、と、これを書きながら気がつきました。本当に古びた過去しかなければ、それに基づくお手伝いも、時代遅れで、ニーズにマッチしないものになってしまうことになります。一方で、「過去」が新しい過去しかなければ、これもまた深みがない。若い人にとっては自分も経験している過去でしかないし、年配の人からすれば頼りない駆け出しのもの、となってしまう。もちろん、過去の新旧を問わず、「質」も大事な要素。誰でもが経験している「過去」だけでは、わざわざ仕事として依頼して頂く意味がない。

もはや、「古い過去」を付け足したりその質を高めることは、時計の針が逆戻りしない限りは不可能なので、自分にこれから出来ることは「古い過去」に「良質」な「新しい過去」を付け足していくこと。それはつまり、良質なインプット・経験を欠かさない、ということなのではないか、と。ぼんやりと思っていて、感覚的に強化し始めていたインプットの重要性とは、つまりそういうことなんだ、というのは、ちょっと自分を正当化し過ぎでしょうか。

 

・自分は「誰に」売っている(買って頂いている)のか

 

会社を始めるにあたって、あまりよく考えずに「顧客を得るためには自社サイトくらいは作らないと」と思っていたのですが、それは考えが浅かった、ということに、ほどなく気がつきました。

私の場合、あまり多くはない単発の仕事を除けば、顧客は全て、自分が何らかの形で過去に一定以上の深さでおつきあいを頂いた方か、あるいはそういう方からのご紹介です。「Webでみました」といった形で新規の顧客が生まれることがない(少なくても現時点では)。

これは、「何を」の話を考えれば当たり前ですが、経験や勘に基づくアウトプットが主力商品である以上、目に見えるものではないですし、また、顧客の評判(口コミ)が広範囲に生じるかといえば、新規事業開発という秘匿性の高い案件で、しかも息の長い取り組みであるため、その数は非常に限定的で、起業から数年というレベルでは、まだ対外的にオープンに出来る成果も限られるので、なおさら限定されます。そして、上記のような「お手伝い」は、一定の信頼関係がベースにないと、なかなか難しい。

今後、少し時間が経って、自分のお手伝いした案件が一般的にオープンになるような成果が出てくれば、多少はつながりの薄い方からお仕事を頂いたり、あるいはベースとなる信頼関係を作るためのファーストステップとなるような顧客との関わり方を模索していく必要もあるんだろうと思いますが、最終的には、このビジネスモデルをやり続ける限り、一定レベルの信頼関係が持てている方に、というのが「誰に」に対する現時点の回答なのだろうと思います。

そんなわけで、自社サイトは、すでに自分と繋がりがある方に向けて、近況報告をしながら、つながりを維持していくためのもの、何かあった時に「そういえば川端がいるよな、アクティブビジョンとかいう会社やってたっけ」と思い出してもらうためのもので、その意味では、バリバリにSEO対策をして検索サイトで上位表示を狙う、といったことではないんじゃないか、と。

そうであれば、つながりを増やし、信頼関係を結べる人の数を増やしていくことが、自分にとっての「営業」ということになるのでしょうが、「社交性」が低い、というか「親密性」が相対的に高いというストレングスファインダーの結果を見ても、じっくりと少しづつ信頼関係を作っていくしかないし、それが性に合っている気がします。

自社サイトでは、ブログをちゃんと書いて、近況の報告をしていくこと。それが大事と思いながら、なかなか頻繁には書けていないのですが、少なくても昨年の下半期のように、数カ月にわたって何も書いていない、という状態は避けなければ、と思っています。大学時代の恩師から頂いた年賀状に「最近ブログ更新してないね」とコメントを頂いて、見ていて下さったことを知って嬉しかったとともに、非常に反省しました。

 

最後になりましたが、あなたは誰に何を買って頂いていますか?